別れの朝は涙雨

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    これを書くことで、気持ちの区切りをつけようと思う。
    決して楽しい話ではないのでこの記事のコメントはクローズにします。
    長文なので、興味のない方はスルーして下さい。


    先日、乗換駅の新宿で、ふと思い出した。

    あの店はまだあるのかな?

    大学時代の友人が連れて行ってくれた、西口地下にあるパーラー。
    お洒落な店とは言い難いけれど、生のフルーツをその場で挽いて作るシャーベットが美味しかった。
    それからは学校帰りに、よく彼女と一緒に立ち寄ったものだった。
    お酒なんかなくても、楽しくお喋りできた時代。
    20年も昔のことだ。

    今思えば、虫の知らせだったのだろう。
    だって、新宿なんて、毎日通っているんだから。

    その夜、同じ大学の同級生から、彼女の死を知らされた。

    告別式の日はあいにくの涙雨。
    それでも学生時代、常に行動を共にしていた仲間たちが一人も欠けることなく集まった。

    毎年、きちんと元旦に届く年賀状が来なかったので、何かあったのかなと心配していたと、全員が口を揃えた。

    でも、実は私のところにだけは来ていたのだ。
    三が日も過ぎた頃に届いた年賀状には、いつになく長いメッセージが書かれていた。
    職場が移転して、通勤が大変になったこと、猫たちはいくつになった? そして、今年は飲みに行けるかな? と・・・・・・。

    なんてことのない近況報告かと思っていたけれど、彼女は私に何かを伝えたかったのではないか。
    仲間うちでは唯一子供のいない私は比較的自由が利く。だから、卒業後も彼女と二人で何度か飲みに行った。
    「NENEと飲みに行きたかったんだね、きっと」
    友人たちが言う。
    もう一度杯を傾けながら、彼女は話したかったのかもしれない。病気のこと。そして自分の命が、おそらく長くはないだろうことを。

    あの年賀状を書きながら、彼女の胸は、張り裂けそうな不安でいっぱいだったのに違いない。
    彼女のサインに気づいて連絡していれば、たとえ結果は変らなかったとしても、彼女の不安を少しでも和らげることが出来たかもしれないのに。

    あるいは全て私の思い過ごしかもしれない。けれど、電話の一本くらい、いつだってかけることはできたのだ。

    この日集まった仲間とも、いつか別れの一日が来る。けれど、こんなせつない別れ方はもう嫌だ。
    皆、子育ても一段落した。これからは会える時間も出来るだろうと、学生時代にはあるはずもなかった携帯のアドレスを交換し合って別れた。

    もうすぐ彼女が好きだった夏がやってくる。
    太陽のように明るく誰からも好かれた彼女のことを、私は夏空を仰ぐ度に思い出すだろう。生涯消えることのない後悔の念と共に。


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